10人未満の会社のAI研修 ── 少人数で始めるときの形と、費用の考え方

「うちは社員8人ですよ。研修なんて、大げさじゃないですか」。中小企業向けのAI研修を調べていると、出てくるのは数十人単位の話ばかりで、自社の規模には当てはまらない気がする。そう感じている10人未満の会社の社長は、少なくないと思います。

社員が10人に満たない会社でも、研修という形が合う場面はあります。ただ、組み方は大きな会社の縮小版にはなりません。全員を出すと会社が止まる。社長が受けるかどうかで、その後の進み方が変わる。費用は1人あたりの金額がそのまま効いてくる。少人数ならではの決め方があります。

この記事では、社員10人未満で受講者が2〜5人になる会社を想定して、誰が受けるか、社長は受けるか、業務を止めない日程、費用の出し方を順に書きます。研修より、eラーニングや個人向けの講座のほうが合う場合についても正直に書きます。文中の会社や人数の例は架空の想定例で、実際の顧客事例ではありません。

10人未満の会社では、受講者は2〜5人になる

社員8人の会社を考えてみます。架空の想定例です。社長、営業が3人、事務と経理が2人、現場の担当が2人。この会社で研修に出せるのは、何人でしょうか。

全員が同じ日に半日抜けると、電話に出る人も、来客に応じる人もいなくなります。現場の担当は、その日の作業を止められないかもしれない。実際に出せるのは、多くて5人、少なければ2人というところに落ち着きます。

受講者が2〜5人になると、大きな会社の研修とは前提が変わります。1人の欠席が全体の2割から5割にあたる。受講者どうしの業務が近いので、演習で扱う業務の話が通じやすい。研修のあとに社内で広げる相手は、残りの数人だけです。良くも悪くも、1人ひとりの比重が大きい研修になります。

10人未満の会社でAI研修を始めるときに決める4つ。誰が受けるか、社長は受けるか、業務を止めない日程、1人あたりの定価×人数で出す費用。1人で始めたい場合はeラーニングや個人向け講座が合うことも示す
受講者は2〜5人。業務を止めない人数と日程から、逆に決めていきます。

全員で受けるか、一部が受けるか

社員が5人以下なら、全員で受けることも選べます。業務を止める時間をどう埋めるかさえ決まれば、全員が同じ言葉で話せるようになるのは小さな会社の強みです。

6〜9人なら、一部が受ける形が現実的です。選ぶときは、若い人や手を挙げた人から決めるのではなく、書く仕事が多い人から決めます。見積書、報告書、取引先へのメール、社内の連絡。こうした文書を毎日書いている人が受けると、研修で覚えたことを翌日から使う場面があります。受講者の選び方の考え方はAI研修に誰を出すかに書きましたが、10人未満の会社では「部署のバランス」より「書く量」で選ぶほうが外しにくいです。

受けなかった人を置き去りにしない工夫も要ります。10人未満の会社では、研修を受けた人の隣の席に、受けていない人が座っています。推進担当のような役を置かなくても、隣で聞ける距離です。研修後に社内で広げる役の置き方は研修後に社内で広げる人をどう置くかに書きましたが、この規模なら月に1回、使えた場面を持ち寄る短い場を社長が設けるくらいで足ります。

社長は受けるか

10人未満の会社では、社長が受講者に入るかどうかが、その後を左右します。

受けたほうがよい理由ははっきりしています。生成AIに入力してはいけない情報の線引きや、会社契約のアカウントにするかどうかは、最後は社長が決めます。中身を知らないまま決めると、厳しすぎて誰も使わないルールか、何も決めていない状態のどちらかになりがちです。社員が研修で作った型を業務で使おうとしたとき、社長が「それは何だ」と止めてしまう、ということも起きにくくなります。

一方で、社長が受講者にいると、ほかの受講者が質問しにくくなることがあります。急な来客や電話で、社長だけが途中で抜けることも多い。受講者が3人のうち1人が毎回抜けると、演習の組み方が崩れます。

受けるなら、全回に出る前提で、受講者の1人として座る。全回に出られないなら受講者には入らず、研修が始まる前に入力してはいけない情報の線だけ決めておき、研修後に受講者から使い方の報告を聞く。どちらかに決めておくと、中途半端になりません。

業務を止めない日程の組み方

少人数の研修で崩れやすいのは、日程です。1日まるごとの研修を2回、という組み方は、10人未満の会社にはまず合いません。その日は会社の機能が半分止まります。

半日を数回に分け、週1回ほどの間隔で進める形のほうが、業務への影響は小さくなります。回と回のあいだに自分の業務で試せる、という利点もあります。曜日は、繁忙の曜日を外します。月曜の朝に注文や問い合わせが集中する会社なら、月曜は避ける。月末の締めがある経理担当がいるなら、月末の週は避ける。割り方の比べ方は15〜25時間の研修を、どう日程に割るかに表にしています。

電話番は、研修の時間帯に必ず1人残します。オンラインで受ける場合も、自分の席で受けると電話や来客に応じてしまい、演習が途切れます。会議室か、なければ別の部屋に移って受けるだけで、集中の度合いが変わります。

費用は「1人あたりの定価×人数」で出す

少人数の研修では、費用は人数にほぼ比例します。当社の場合、受講者が10名未満のときは1人あたりの定価に人数を掛けた金額になります。10名以上の1クラス定額は、10人未満の会社では当てはまりません。

受講人数基礎(全15時間)実践(全20時間)応用(全25時間)
2名──(3名から)60万円80万円
3名60万円90万円120万円
4名80万円120万円160万円
5名100万円150万円200万円

いずれも税込の定価から計算したものです。最少人数は、基礎が3名、実践と応用が2名です。対面で実施する場合は、講師の交通費が実費でかかります。

もう1つ、表に出てこない費用があります。受講者の時間です。実践を3名で受けると、20時間×3名で60時間、社員が通常の業務から離れます。10人未満の会社では、この60時間を誰がどう埋めるかのほうが、金額より重く感じられることも多いです。費用を考えるときは、金額と時間の両方を並べてください。形式の違う研修を比べるときの見方はAI研修の費用相場と料金の見方にまとめています。

eラーニングや個人向け講座のほうが合う場合

ここは正直に書きます。10人未満の会社では、当社のようなライブ型の研修より、別の形のほうが合う場合が少なくありません。

受講者が1人しかいない場合。当社の研修は最少人数を基礎3名、実践と応用2名としているので、1人では申し込めません。社長が1人でまず触ってみたい、という段階なら、個人向けの講座や書籍、ツール提供元の教材から始めるほうが早いです。

目的が、生成AIとは何かという基礎知識を全員に配ることである場合。業務を題材にした演習は要らず、費用を抑えて全員が同じ内容を見られることが大事なら、eラーニングのほうが向いています。

研修で扱いたい業務がまだ決まっていない場合も、急いで申し込む必要はありません。まず数週間、自分たちで使ってみて、どの業務で手が止まるかが見えてからのほうが、研修の時間を有効に使えます。研修テーマの絞り方は30分の打ち合わせで研修テーマを1つに絞る手順に書きました。

逆に、2〜5人が同じ種類の書く仕事を抱えていて、その業務の型を会社として揃えたい、という段階なら、ライブ型の研修が合ってきます。

よくある質問

社員2人だけで研修を受けられますか?

当社の場合、実践コースと応用コースは2名から受講できます。基礎コースは3名からのため、2名では申し込めません。費用は10名未満のため1人あたりの定価に人数を掛けた金額で、実践なら2名で60万円、応用なら2名で80万円(いずれも税込)です。対面で実施する場合は、別に講師の交通費が実費でかかります。2名なら、日程を決めるときに1人の欠席が全体の半分にあたる点も考えておいてください。

社長1人だけで受けることはできますか?

当社の研修は最少人数を基礎3名、実践と応用2名としているため、1人では受講できません。社長がまず自分で使ってみたいという段階であれば、個人向けの講座やツール提供元の教材、eラーニングから始めるほうが合っています。そのうえで、社員と一緒に業務の型を揃えたくなった段階で、研修を検討する順番をおすすめします。

10人未満の会社でも、1クラスの定額で申し込めますか?

1クラスの定額は、受講者が10名以上の場合の料金です。10名未満の場合は、1人あたりの定価に受講人数を掛けた金額になります。たとえば基礎コースを4名で受けると80万円、実践コースを3名で受けると90万円です(いずれも税込)。金額だけでなく、受講者が業務から離れる時間数も並べて、どのコースから始めるかを決めてください。

小さな会社の研修は、人数より日程から決める

10人未満の会社のAI研修は、受講者が2〜5人になるところから組み立てます。書く仕事が多い人を選び、社長は全回に出るか、出ないならルールだけ先に決める。日程は半日を数回に分け、電話番を1人残す。費用は1人あたりの定価×人数で出し、受講者が業務から離れる時間も一緒に見積もる。1人で始めたい段階なら、研修ではなく個人向けの講座から始めるほうが合います。

自社の人数と業務で、研修という形が合うかどうかを確かめたい段階でもご相談ください。