計画届を出したあとに変更が出たとき ── 受講者の欠席・退職、日程変更、内容変更
「受講者の1人が、来月末で退職することになりまして」。計画届を出したあとに、こういう連絡が入ります。届出のときには全員そろっていた名簿が、研修が始まる前に変わる。珍しいことではありません。
変更が出ること自体は避けられません。困るのは、変更を誰に、いつ伝えるかが決まっていないことです。研修会社に先に連絡が来て、当社が「それは届出に関わるので、先に社労士に」と返す。この往復で1週間が消えることがあります。
この記事は、計画届を出したあとに起きやすい変更を4種類に分け、それぞれで最初に確かめることと、誰にどの順で共有するかを書きます。手続きの詳細は書きません。変更の届出の要否や様式は年度・コース区分で変わり、支給の可否は管轄労働局の審査により決定されます。最新の要件は厚生労働省の公式ページでご確認いただき、必要に応じて専門家(社会保険労務士等)にご確認ください。当社は届出・申請の代行を行いません。以下の日付や人数は架空の想定例で、実際の顧客事例ではありません。
変更は4種類に分けると、動き方が決まる
計画届のあとに出る変更は、だいたい次の4つのどれかです。
| 変更の種類 | 例 | 最初に確かめること |
|---|---|---|
| 受講者の欠席 | 1回休む、途中で退席する | 出席の割合の要件に触れるか。振替があるか |
| 受講者の退職・異動・交代 | 退職、他部署への異動、代わりの人を入れたい | 名簿の変更に届出が要るか。代わりの人が要件を満たすか |
| 日程の変更 | 1回分を翌週に延期、開始日を1か月後ろへ | 変更の届出が要るか。開始前と開始後で扱いが違うか |
| 内容の変更 | 演習の差し替え、時間数の増減、対面からオンラインへ | 届出した内容と違うものを実施することになるか |
4つとも、研修会社が「大丈夫です」と言える種類の話ではありません。届出に関わるかどうかを判断するのは、申請事業主と専門家です。当社にできるのは、事実を記録し、日程と名簿の調整に応じることまでです。
1. 受講者の欠席
いちばん起きやすく、いちばん軽く見られる変更です。
出席の割合には要件があります。それを下回った受講者は、その研修について対象外として扱われる場合があります。割合の数字と時間の数え方はコース区分や年度で異なるので、ここには書きません。公式資料と管轄労働局でご確認ください。
社内でやることは2つです。欠席した日時と理由を記録に残すこと。これは助成金で求められる訓練の記録に書いたとおり、当日しか作れません。もう1つは、残りの回をすべて出席した場合の実訓練時間を計算しておくことです。要件との比較は専門家に頼むとしても、材料の数字は自社で出せます。
振替の有無は研修会社に確認します。当社の場合、振替ができるかどうかは研修の日程設計によるため、一律にはお答えしていません。契約前に聞いておく話です。
1回休んだから終わり、ではありません。ただ「まだ大丈夫です」とも、研修会社は言えません。
2. 受講者の退職・異動・交代
退職が決まると、その人は雇用保険の被保険者でなくなる時期が来ます。届出済みの名簿からその人が抜けることになり、名簿の変更に届出が要るかどうか、代わりの人を入れられるかどうかは、開始前か開始後か、コース区分によって扱いが変わります。ここは断定できません。社労士か管轄労働局に確かめる項目です。
代わりの人を入れたい場合、研修会社としては席を用意できます。ただし、席があることと、その人が助成の対象となり得ることは別です。社労士に聞く前に社内で答えが出る7つの確認で挙げた被保険者かどうかの確認を、代わりの人についてもう一度やります。
ここは当社の都合の話になりますが、1つ書いておきます。10名以上の1クラス定額で申し込まれたあとに、退職や辞退で実受講者が10名を下回った場合、請求額を定額のままにするか1人単価に切り替えるかは、契約締結時に商取引条件として取り決めています。助成金の支給見込みとは切り離して定めているので、変更が出たときに「支給されないなら安くなりますか」という話にはなりません。契約書のその条項を、申し込み前に見ておいてください。
3. 日程の変更
日程の変更は2種類あります。1回分を延期するのと、開始日そのものを後ろにずらすのとでは、動く範囲が違います。
開始日がずれるなら、届出の期限との関係が変わります。計画届を開始1か月前から逆算するで書いた1か月は、開始日を動かせば一緒に動きます。届出済みの計画を変える手続きが要る場合があり、その要否と様式は公式資料で確かめます。
1回分の延期は、軽く見えて、終了日を動かします。終了日が動けば、その後の支給申請の期限も動きます。申請手順の5工程で触れたとおり、終了後の期限は届出のときほど長くありません。延期を決めた日に、社内のカレンダーの申請期限も直しておきます。
架空の想定例です。11月10日開始、全5回、毎週火曜。第3回の11月24日が、営業部の月末対応と重なった。この場合、11月の前半に分かっていれば、第3回を12月1日に、以降を1週ずつ後ろにずらす案が出せます。終了日が1週間動くので、届出の変更が要るかを社労士に確かめ、要るなら期限までに出す。当日の朝に「今日は無理です」となると、この順番が踏めません。欠席の記録だけが残ります。
日程変更の条件は、当社の場合、個別の契約書で定めています。変更の回数や時期によって費用が発生する場合があるので、こちらも契約前にご確認ください。
4. 内容の変更
演習を1つ差し替える。時間数を2時間増やす。第4回だけ対面からオンラインにする。研修会社の側から見ると、どれも「できます」と言いたくなる変更です。実際、研修としてはできます。
問題は、届出したカリキュラムと違うものを実施した記録が残ることです。時間数や実施形態が変わると、対象となる訓練の要件との関係が変わる可能性があります。助成金の対象になる訓練かを、カリキュラムを作る前に確かめるで挙げた項目は、変更のたびに見直す項目でもあります。
当社は、内容の変更を頼まれたときは、先に社労士か労働局に確認していただいてから変えるようお願いしています。研修会社が先に変えてしまうと、あとから説明の材料を作ることになります。
正直に書くと、ここは研修会社のほうが緩みやすい場所です。受講者の要望に応えて演習を足すのは、講師としては気持ちのいい仕事だからです。だから当社では、届出のあとの内容変更は、講師の判断だけでは行わない決まりにしています。
共有の順番は、自社、社労士、研修会社
4種類とも、共有の順番は同じです。自社で事実を整理し、社労士に届出の要否を確かめ、そのうえで研修会社と日程や名簿を調整する。
この順番にする理由は単純で、研修会社は届出の要否を判断できないからです。研修会社に先に連絡すると、研修会社は日程を動かします。そのあとで届出が必要だと分かると、動かした日程をもう一度動かすことになります。
自社でやるのは、事実を1枚にすることです。誰が、いつから、何が変わるか、いつ分かったか。この4点をメール1通に書けるようにしておくと、社労士への確認が1往復で済みます。顧問社労士がいない会社は、自社から管轄労働局に直接確かめる形になります。
研修会社に来るのは、その後です。日程を組み直す、名簿を差し替える、欠席の記録を残す。当社が動けるのはここで、届出の要否が決まってからのほうが、一度で済みます。
例外が1つあります。当日の欠席と途中退席です。これは記録に関わるので、研修会社と同時に共有して構いません。むしろ、その場で進行役が記録するので、研修会社のほうが先に知ることになります。
早く伝えるほど、選べる案が残る
地味ですが、これに尽きます。
退職の話が2か月前に分かれば、代わりの人を届出の変更に間に合わせられるかを確かめる時間があります。2週間前なら、選択肢は減ります。当日なら、記録を残す以外にできることはありません。変更が出ること自体を責めても仕方がないので、社内では「分かった日に人事に言う」を約束にしておくと、後の手間が減ります。
よくある質問
受講者が1回欠席しました。その人は助成の対象外になりますか?
出席の割合に要件があり、それを下回った場合は対象外として扱われることがあります。割合の数字や時間の数え方はコース区分や年度で異なるため、当社では判断できません。欠席の日時と理由を記録に残し、残りの回をすべて出席した場合の実訓練時間を計算したうえで、社労士か管轄労働局にご確認ください。支給の可否は審査により決定されます。
計画届のあとに受講者を1人追加できますか?
研修会社としては席を用意できますが、追加した人が助成の対象となり得るかは別の話です。開始前か開始後か、コース区分によって届出の扱いが変わるため、公式資料と社労士または管轄労働局でご確認ください。追加する人が雇用保険の被保険者かどうかの確認も、届出の前に社内で済ませておきます。席の確保と対象の可否は別の問題として、順に確かめる形をおすすめしています。
日程を変更すると、研修会社への費用はかかりますか?
当社の場合、日程変更とキャンセルの条件は個別の契約書で定めています。変更の時期や回数によって費用が発生する場合があるため、お申込み前にご確認ください。なお、助成金の不支給を理由とするキャンセルや返金には応じかねます。研修の費用と助成の見込みは、切り離して考える前提です。変更が見えた時点で早めにご連絡いただくほうが、費用のかからない案を選べる余地が残ります。
変更は起きる。順番だけ決めておく
計画届のあとの変更は、欠席、退職・交代、日程、内容の4つに分かれます。どれも研修会社が可否を判断できる話ではなく、届出の要否は申請事業主と専門家が確かめます。共有は自社、社労士、研修会社の順。当日の欠席だけは、記録のために研修会社と同時で構いません。そして、分かった日に伝える。それだけで、選べる案が残ります。
日程や名簿に変更が出そうな段階でも、お気軽にご相談ください。届出の要否そのものは、申請事業主または契約した専門家にご確認いただく前提です。